これまで保育に関わってきた中で、特にたくさんの悩み事が届いてきた「保護者支援・子育て支援」の分野。大人を相手にする分野だからこその難しさとやりがい。「家庭支援」の視点があってこそ見えてくるものが多いと感じています。
1回目?2回目のZoomにかけて実践されたことや気付き、皆さんと共有しておきたいことと合わせて、動画をお届けします!
●発達に課題のある(診断あり)子どもと、保護者への関わりを変えてみた!
発達に課題があることと、保護者(家庭)の状況を分けて考え、じっくりと観察をしてみた。保護者が、生活の中で困っていることを特定して、アドバイスできることやお願いをしてみた。常に「子どもにとって」という視点を大事にした上で、目的を細かくし、伝えたことで、保護者の行動が変わった。まだまだ先は長いが、大きな一歩を踏み出せたことに手応えを感じている。
保育施設では、関わりの対象が子どもでありながら、様々な決定権や情報提供は「保護者」となります。子どもにとっていいと思えることが、時に大人にとって不都合なこともありますし、その逆もあるのが事実です。
今回の実践では、保護者が何に困っているのかを、観察と検討により特定し、ピンポイントでアドバイスをできたこと、またその根底に、担任の先生のこれまでの丁寧な関わりがあったことが、成果につながったのだと思います。
また、発達の課題を捉えたとき「保護者に伝える」ことが優先されがちですが、まずは園で子どもとできることもたくさんありますね。
保育士が自らの「直感」や「経験値」「肌感覚」を大事にし、言葉にすることをトレーニングしながら、子どもにとってより良い環境を整えていきたいものです。
●保護者の要望が多様化する中で、保育園が考えておいた方が良いことは?
東北産のものを食べさせないで欲しい、 アレルギーではないが牛乳を飲ませないで欲しい、病院は基本的に利用しない、予防接種はしない、洗濯は水だけでする…
年々、家庭の価値観や生活様式が多様化し、保護者からの要望に応じることが増えた。
その影響で子どもが、不要な我慢をすることや、不快な思いをすることが増えている気がしているという。
保育園に対する、保護者の認識が変わってきたことも大きい。
大切なのは、入園時の説明。
どれも「子どもの最善の利益」に立って、保育施設が行うもの。
特に、以下の3点は伝えておくことで、保育者の「伝えにくい」を解消し、子どもが育つためにできることを増やすことができる。
1・保育園は子どものための施設であること
2・集団生活を清潔・快適に送るために、必要なことを伝え協力を仰ぐこともある
3・子どもの発達・経験・感受性によって、個別での関わりや専門家への相談、保護者との面談を持つことがある
あれは体に悪いから食べたくない、お天気がいいから洗濯をしないと外出したくない、歯ブラシは絶対にヘッドが小さいやつ。といった具合に、私自身も、年々こだわりが増えている気がします。
選ぶことができるようになると、なんでもよかった、なんならありがたいと思っていたことなど忘れるものです。
時に自分で自分を窮屈にしているような、それでも小さなこだわりを大事にできていることが日々の安心につながっているような気持ちにもなります。
これだけ情報が多い時代になると、子育ても大変ですね。
寝て食べて遊ぶことが、幸せな子どもの原則だ!では済まなくなっている今。
私たち保育者は何を大事にしたら良いのでしょう。
それは「保育園でできることの、今の限界のラインを定めること」と「子どもの最善の利益のために話し合う姿勢」だと思います。
あくまでも、認可を受け、限られた予算と制度の中で、資格を持った人たちが仕事として行っている「保育」です。
極端な要望、たとえば、うちはクーラーは使わないので、といった生命の保持に関わるようなことも、これから出てくるとも限りません。
保護者の背景を理解する姿勢を持ちつつも、集団の中で遊びと生活を通して保育を行っていることに自覚を持ちながら、公平な保育を目指していきましょう。
参考動画
2022.08.26 がじゅまる学習塾